♪♪バッハ「ミサ曲 ト長調 BWV236」♪♪

 

 バッハは有名なロ短調のミサ曲以外に4曲のミサ曲を作曲しています。しかし、この4曲のミサ曲は、ルターによる宗教改革以降、教会での礼拝の形態が変わり用いられるラテン語による曲はキリエとグローリアがミサ曲として、サンクトゥスが単独で演奏が許されるという事情によりこれら4曲のミサ曲はルター派ミサ曲とも呼称されています。また、キリエとグローリアのみで構成される小さなミサ曲と意味のミサ・ブレヴィスとも呼称されています。バッハはこれらのミサ曲の作曲を自身のカンタータからのパロディーと言う方式で作曲しました。

 「ミサ曲ト長調」BWV236では次の4つのカンタータから6曲選ばれました。

  第1曲 Kyrie        カンタータ179番「心せよ、汝の敬神の偽りならざるかを」第1曲

  第2曲 Gloria         カンタータ79番「主なる神は日なり、盾なり」第1曲

  第3曲 Gratias       カンタータ138番「汝なにゆえにうなだるるや、わが心よ」第4曲

  第4曲 Domie Deus     カンタータ79番「主なる神は日なり、盾なり」第5曲

  第5曲 Quoniam       カンタータ179番「心せよ、汝の敬神の偽りならざるかを」第3曲

  第6曲 Cum Sancto Spiritu   カンタータ17番「感謝の供えものを献ぐる者は、われを讃う」第1曲

第1曲 Kyrie / カンタータ179番 第1曲

 基本的にはメローディを変更せずKyrie eleison、 Christe eleisonのテキストをあてはめています。 

第2曲 gloria

 カンタータでは2本のホルンによって重奏によって開始されますが、ミサでは、ホルンの部分がソプラノとアルトにあてられ重唱で開始されます。このあと器楽よる合奏が続きます。カンタータでは45小節からテナーから合唱が入りますが、ミサではソプラノに当てられパートの変更などがあります。

第3曲 Gratias / カンタータ138番 第4曲

  基本的にはバスのアリアで同じ調で細かい節回しの変更があるものの、基本的に曲の構造の変更はありません。

第4曲 Domine Deus / カンタータ79番 第5曲

 カンタータではソプラノとバスによる2重唱ですがミサではソプラノとアルトの2重唱に変更され、調性もハ長調からニ長調に変更されています。 

第5曲 Quoniam / カンタータ179番 第3曲

 テノールによるアリアで基本的な変更はありません。

第6曲 Cum Sancto Spiritu / カンタータ17番 第1曲

 カンタータでは器楽合奏による長い導入部がありますが、ミサではこの部分をカットしホモフォニックな7小節のパッセージに変更され、調性もイ長調からト長調に変更されています。